最終更新:2025-12-29
注意: この記事はAIによって自動生成されたものです。正確な情報については、必ず引用元の原著論文および各ソフトウェアのマニュアルをご確認ください。
概要:純粋な汎関数の命名規則
純粋な密度汎関数(Pure DFT, 厳密には「T」は不要だが便宜上このように呼ぶことにする。)は、通常「交換汎関数(Exchange Functional)」と「相関汎関数(Correlation Functional)」の組み合わせによって定義される。多くの計算化学ソフトウェア(Gaussianなど)において、手法の指定は各要素のキーワードを結合することで行われる。
(混成汎関数というものも存在するがこれは交換項にHartree-Fock交換項を混ぜることで補正した汎関数を指す。今回は化学計算に関係の深いPure DFTの種類をまとめる。)
- 命名規則:
[交換汎関数] + [相関汎関数] - 例: B (Becke88交換) + LYP (LYP相関) BLYP
- 例: S (Slater交換) + VWN (VWN相関) SVWN (別名: LSDA)
以下に、主要な交換汎関数および相関汎関数の定義と出典を列挙する。
1. 交換汎関数 (Exchange Functionals)
電子間の交換相互作用を記述する汎関数。単独で使用する場合はキーワードが異なる場合がある(例: HFS)。
局所密度近似 (LDA)
S (Slater)
- 定義: 均一電子ガスモデルに基づく交換汎関数。電子密度 に比例し、理論的な係数は である。
- キーワード:
S(単独使用時はHFS) - 出典:
- P. Hohenberg and W. Kohn, Phys. Rev. 136, B864 (1964).
- W. Kohn and L. J. Sham, Phys. Rev. 140, A1133 (1965).
- J. C. Slater, Quantum Theory of Molecules and Solids, Vol. 4: The Self-Consistent Field for Molecules and Solids (McGraw-Hill, New York, 1974).
XA (X-Alpha)
- 定義: Slater交換と同様に に比例するが、係数を経験的な値()としたもの。通常、相関汎関数を伴わずに単独で使用される。
- キーワード:
XA(単独使用時はXAlpha) - 出典: Slater (1974) [同上].
一般化勾配近似 (GGA)
B (Becke 88)
- 定義: Slater交換に加え、電子密度の勾配 を含む補正項を導入し、正しい漸近挙動を持つように設計された汎関数。
- キーワード:
B(単独使用時はHFB) - 出典: A. D. Becke, Phys. Rev. A 38, 3098 (1988).
PW91 (Perdew-Wang 91 Exchange)
- 定義: PerdewとWangによる1991年の交換汎関数。
- キーワード:
PW91 - 出典:
- J. P. Perdew, in Electronic Structure of Solids ‘91, ed. P. Ziesche and H. Eschrig (Akademie Verlag, Berlin, 1991), p. 11.
- J. P. Perdew and Y. Wang, Phys. Rev. B 45, 13244 (1992).
PBE (Perdew-Burke-Ernzerhof Exchange)
- 定義: 物理的要件(スケーリング則、Lieb-Oxford境界条件など)を満たすように非経験的に構築された交換汎関数。
- キーワード:
PBE - 出典: J. P. Perdew, K. Burke, and M. Ernzerhof, Phys. Rev. Lett. 77, 3865 (1996).
G96 (Gill 96)
- 定義: Gillによる1996年の交換汎関数。
- キーワード:
G96 - 出典: P. M. W. Gill, Mol. Phys. 89, 433 (1996).
O (OPTX)
- 定義: HandyらによるBecke交換汎関数の改良版(Optimized Exchange)。
- キーワード:
O - 出典: N. C. Handy and A. J. Cohen, Mol. Phys. 99, 403 (2001).
メタGGA (Meta-GGA)
TPSS
- 定義: Tao, Perdew, Staroverov, Scuseriaによる、運動エネルギー密度に依存する交換汎関数。
- キーワード:
TPSS - 出典: J. Tao, J. P. Perdew, V. N. Staroverov, and G. E. Scuseria, Phys. Rev. Lett. 91, 146401 (2003).
PKZB
- 定義: Perdew, Kurth, Zupan, Blahaによる初期のメタGGA交換汎関数。
- キーワード:
PKZB - 出典: J. P. Perdew, S. Kurth, A. Zupan, and P. Blaha, Phys. Rev. Lett. 82, 2544 (1999).
2. 相関汎関数 (Correlation Functionals)
電子間の相関相互作用を記述する汎関数。必ず交換汎関数と組み合わせて使用する。
局所密度近似 (LDA)
VWN (Vosko-Wilk-Nusair III)
- 定義: 均一電子ガスに対するRPA解をフィッティングしたもの。Gaussianにおいて
LSDAキーワードを用いた場合、デフォルトでこの汎関数(VWN functional III)が使用される。 - キーワード:
VWN - 出典: S. J. Vosko, L. Wilk, and M. Nusair, Can. J. Phys. 58, 1200 (1980).
- 定義: 均一電子ガスに対するRPA解をフィッティングしたもの。Gaussianにおいて
VWN5 (Vosko-Wilk-Nusair V)
- 定義: 均一電子ガスに対するCeperley-Alderの量子モンテカルロ計算解をフィッティングしたもの。原著論文で推奨されているのはこちらである。一部のソフトウェアでは
LSDAがこちらを指す場合がある。 - キーワード:
VWN5 - 出典: S. J. Vosko, L. Wilk, and M. Nusair, Can. J. Phys. 58, 1200 (1980).
- 定義: 均一電子ガスに対するCeperley-Alderの量子モンテカルロ計算解をフィッティングしたもの。原著論文で推奨されているのはこちらである。一部のソフトウェアでは
PL (Perdew Local)
- 定義: Perdewによる1981年の局所相関汎関数。
- キーワード:
PL - 出典: J. P. Perdew and A. Zunger, Phys. Rev. B 23, 5048 (1981).
一般化勾配近似 (GGA)
LYP (Lee-Yang-Parr)
- 定義: Colle-Salvettiの相関エネルギー式に基づき、電子密度とその勾配、およびラプラシアンを用いて表現された相関汎関数。局所項と非局所項の両方を含む。
- キーワード:
LYP - 出典: C. Lee, W. Yang, and R. G. Parr, Phys. Rev. B 37, 785 (1988).
PW91 (Perdew-Wang 91 Correlation)
- 定義: PerdewとWangによる1991年の勾配補正相関汎関数。
- キーワード:
PW91 - 出典: J. P. Perdew, et al., Phys. Rev. B 45, 13244 (1992).
P86 (Perdew 86)
- 定義: Perdewによる1986年の勾配補正項を、1981年の局所相関汎関数(PL)に付加したもの。
- キーワード:
P86 - 出典: J. P. Perdew, Phys. Rev. B 33, 8822 (1986).
PBE (Perdew-Burke-Ernzerhof Correlation)
- 定義: PBE交換汎関数と対になるように設計された、非経験的勾配補正相関汎関数。
- キーワード:
PBE - 出典: J. P. Perdew, K. Burke, and M. Ernzerhof, Phys. Rev. Lett. 77, 3865 (1996).
メタGGA (Meta-GGA)
TPSS
- 定義: TPSS交換汎関数と対になる運動エネルギー密度依存の相関汎関数。
- キーワード:
TPSS - 出典: J. Tao, J. P. Perdew, V. N. Staroverov, and G. E. Scuseria, Phys. Rev. Lett. 91, 146401 (2003).
B95 (Becke 95)
- 定義: Beckeによる運動エネルギー密度依存の勾配補正相関汎関数。本来は1パラメータのハイブリッド汎関数の一部として定義された。
- キーワード:
B95 - 出典: A. D. Becke, J. Chem. Phys. 104, 1040 (1996).
3. 注意点:LSDAの定義揺れについて
「LSDA(局所スピン密度近似)」という用語が具体的にどの汎関数を指すかは、ソフトウェアによって定義が異なるため注意が必要である。
- Gaussian:
LSDAキーワードは S (Slater) + VWN (functional III) の組み合わせと同義である。 - その他のソフトウェア:
LSDAが S (Slater) + VWN5 (functional V) を指す場合や、Perdew-Zunger (PZ81) を指す場合がある。
異なるソフトウェア間でエネルギーや構造を比較する際は、LSDA という通称ではなく、SVWN や SVWN5 のように明示的な組み合わせを指定することが推奨される。
