最終更新:2025-02-22
id
コマンドは、Unix系システムにおいて現在のユーザーまたは指定したユーザーのユーザーID (UID) やグループID (GID) などの情報を表示するための基本コマンドである。ユーザーが自身または他のユーザーのID情報を確認する際に利用される。
主なオプションの詳細
なし
引数を指定せずに実行すると、現在のユーザーに関する詳細な情報(実効ユーザーID、実ユーザーID、実効グループID、補助グループIDなど)が表示される。
例:id
-u
,--user
実効ユーザーID (euid) のみを表示する。
例:id -u
-g
,--group
実効グループID (egid) のみを表示する。
例:id -g
-G
,--groups
ユーザーが所属しているすべてのグループIDを表示する。
例:id -G
-n
,--name
数値の代わりに名前を表示する。このオプションは、-u
,-g
,-G
と組み合わせて使用する。
例:id -un # 実効ユーザー名を表示する id -gn # 実効グループ名を表示する id -Gn # 所属グループ名をすべて表示する
-r
,--real
実ユーザーIDまたは実グループIDを表示する場合に使用する。このオプションを用いることで、実効IDではなく、ログインしたユーザーの元々のIDが表示される。通常は-u
や-g
と組み合わせて使用する。
例:id -ru # 実ユーザーIDを表示する id -rg # 実グループIDを表示する
-Z
SELinuxが有効なシステムにおいて、ユーザーのSELinuxセキュリティコンテキストを表示する。SELinuxの設定状況によってはこのオプションが利用可能である。
例:id -Z
ユーザー名の指定
コマンドの引数にユーザー名を指定することで、そのユーザーのID情報を取得することも可能である。
例:id username
ハンズオン
以下に、id
コマンドを実際に使用する例を示す。
1. 現在のユーザーの詳細情報を表示
ターミナルにて次のコマンドを実行せよ。
id
実行結果は、以下のように表示される。実効ユーザーID、実ユーザーID、実効グループID、および補助グループIDが一覧となっている。
uid=1000(you) gid=1000(you) groups=1000(you),27(sudo),1001(developers)
2. 実効ユーザーIDのみを表示
実効ユーザーIDだけを確認したい場合、次のように実行する。
id -u
出力例:
1000
3. 実効グループIDおよび所属グループのすべてのIDを表示
実効グループIDのみを表示するには次のようにする。
id -g
そして、所属するすべてのグループIDを表示するには次のように実行せよ。
id -G
出力例:
1000 27 1001
4. 名前で表示する
数値の代わりに、ユーザー名やグループ名を表示したい場合は、-n
オプションを付加する。例えば、実効ユーザー名は以下のように確認できる。
id -un
出力例:
you
また、実効グループ名および所属するすべてのグループ名は以下のように表示できる。
id -gn # 実効グループ名
id -Gn # 所属グループ名
5. 実IDの確認
実効IDではなく、実際のユーザーIDおよびグループIDを確認するには、-r
オプションを使用する。例えば、実ユーザーIDは以下のように取得できる。
id -ru
出力例:
1000
6. 他ユーザーの情報を表示する
管理者権限または十分な権限がある場合、他のユーザーのID情報を取得することができる。例えば、alice
というユーザーの情報を表示するには、以下のように実行せよ。
id alice
出力例:
uid=1001(alice) gid=1001(alice) groups=1001(alice),27(sudo)