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【DFT】PBE0汎関数の数理と歴史:物理的制約に基づく「パラメータフリー」混成汎関数の到達点
1999年にCarlo AdamoとVincenzo Baroneによって確立されたPBE0(PBE1PBE)汎関数について解説する。Beckeの3パラメータ混成(B3LYP)が経験的フィッティングに依存していたのに対し、PBE0はいかにして「理論的な摂動論」のみから25%という混合比を導き出したのか。その数理的背景、PBEとの決定的な違い、そして化学的精度における実利的な成果を、原著論文に基づき詳細に紐解く。
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18 minutes
【DFT】SOGGA11-X汎関数の数理と歴史:GGAルネッサンスと第2次密度勾配展開の厳密化
2011年にRoberto PeveratiとDonald G. Truhlarによって提案されたSOGGA11-X汎関数について解説する。2000年代後半に隆盛を極めたMeta-GGA(運動エネルギー密度依存型)の流れに対し、あえて古典的なGGA(一般化勾配近似)形式に立ち返りつつ、高度な数理的制約と柔軟な関数形を融合させた背景にはどのような意図があったのか。第2次密度勾配展開(Second-Order Gradient Expansion)を厳密に再現するという物理的制約(SOGGA思想)と、グローバルハイブリッド形式による化学的精度の追求について、その導出過程から実利的な成果までを原著論文に基づき学術的観点から深掘りする。
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19 minutes
【DFT】tHCTHhyb汎関数の数理と歴史:運動エネルギー密度とハイブリッド法の融合による熱化学精度の追求
2002年にA. Daniel BoeseとNicholas C. Handyによって提案されたtHCTHhyb(tau-HCTH-hybrid)汎関数について解説する。BeckeのB97形式を拡張し、運動エネルギー密度(tau)を変数として取り入れたこのハイブリッドMeta-GGA汎関数が、どのようにして原子化エネルギーの予測精度を向上させたのか。15%というHartree-Fock交換混合率の導出根拠、407分子におよぶ大規模トレーニングセットを用いたパラメータ最適化の戦略、そしてB3LYPやB97-1といった既存の汎関数に対する実利的な優位性と課題について、原著論文に基づき学術的観点から深掘りする。
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14 minutes
【DFT】TPSSh汎関数の数理と歴史:非経験的Meta-GGAの完成とハイブリッド化による化学的精度の追求
2003年にViktor N. Staroverov, Gustavo E. Scuseria, Jianmin Tao, John P. Perdewによって提案されたTPSSh汎関数について詳細に解説する。John Perdewらが構築した「非経験的」なMeta-GGA汎関数であるTPSS(Tao-Perdew-Staroverov-Scuseria)を基礎とし、そこに少量のHartree-Fock交換(10%)を導入することで、原子化エネルギーの精度を劇的に向上させた経緯と数理的背景に焦点を当てる。物理的制約条件に基づく汎関数設計の哲学、PKZBからの進化、そして10%という混合率の導出根拠と、熱化学および水素結合系における実利的な成果について、原著論文に基づき学術的観点から深掘りする。
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22 minutes
【DFT】ωB97M-V汎関数の数理と歴史:組合せ最適化によるMeta-GGAと非局所相関の統合
2016年にNarbe MardirossianとMartin Head-Gordonによって提案されたωB97M-V汎関数について、その理論的背景、数理的構造、およびパラメータ最適化戦略を詳細に解説する。先行するωB97X-Vで導入された組合せ最適化手法をMeta-GGA形式へ拡張した背景、運動エネルギー密度の導入が物理的記述力にもたらす効果、および大規模データセットを用いたパラメータフィッティングの詳細について記述する。また、VV10非局所相関との統合による分散力記述の向上と、Meta-GGA形式の採用がもたらす精度の改善について、原著論文に基づき学術的観点から考察する。
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15 minutes
【DFT】ωB97およびωB97X汎関数の数理と歴史:B97形式の柔軟性と長距離補正の体系的融合
2008年にJeng-Da ChaiとMartin Head-Gordonによって提案されたωB97およびωB97X汎関数について解説する。BeckeのB97汎関数が持つ柔軟なべき級数展開形式と、長距離補正(Long-Range Correction)スキームを体系的に統合し、自己相互作用誤差と漸近ポテンシャルの問題を解決した手法に焦点を当てる。短距離交換におけるHartree-Fock混合の有無による両汎関数の差異、パラメータ最適化の戦略、および熱化学、反応速度論、励起状態計算における実利的な成果を、原著論文に基づき学術的観点から詳述する。
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20 minutes
【DFT】ωB97X-D汎関数の数理と歴史:長距離補正と分散力補正の完全統合による非共有結合系の記述
2008年にJeng-Da ChaiとMartin Head-Gordonによって提案されたωB97X-D汎関数について解説する。密度汎関数法(DFT)における二つの主要な欠点、すなわち「自己相互作用誤差」と「分散力の欠如」を、長距離補正(Range-Separated Hybrid)と経験的分散力補正(DFT-D)の同時適用によっていかに克服したか。その数理的定式化、減衰関数の設計、パラメータ再最適化のプロセス、およびファンデルワールス錯体や熱化学における実利的な成果について、学術的な観点から詳細に深掘りする。
3972 words
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20 minutes
【DFT】ωB97X-V汎関数の数理と歴史:非局所相関汎関数VV10による分散力の物理的記述と「適者生存」戦略による最適化
2014年にNarbe MardirossianとMartin Head-Gordonによって提案されたωB97X-V汎関数について解説する。従来の経験的分散力補正(DFT-D)とは一線を画す、電子密度に直接依存する非局所相関汎関数(VV10)を導入した数理的背景(Vの意味)を詳細に紐解く。また、BeckeのB97形式におけるパラメータ空間を網羅的に探索する「適者生存(Survival of the Fittest)」戦略による最適化手法、長距離補正ハイブリッドとしての設計、および熱化学・非共有結合相互作用における実利的な成果について、原著論文に基づき学術的観点から深掘りする。
4199 words
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21 minutes